最前列の助手席から後部2列目まで、全列のシートを搭載する、全長3000mmのロングスライドレール。従来は各席で分かれていたレールが1本となったことで、助手席は最大で1160mmと、後部座席1列目近くまでのスーパーロングスライドが可能となりました。これにより、シート位置・角度のアレンジの自由度が大幅に拡大。「ミニバン」ではなく「高級サルーン」と呼ぶのにふさわしい、極上のリラックス空間が誕生しました。
ロングスライドレールの材料は、100kg級ハイテン材(高張力鋼板)。普通鋼板製やアルミ製のレールに比べて引っ張り強度に優れているのが特長です。そのため、3点式シートベルトをすべてシート収納式(従来は1点が車体収納式)とした場合でもじゅうぶんな衝突安全性を確保できるようになり、シートアレンジの自由度が格段に高まりました。また、レールの一部を空間に浮かせて床下に収納スペースを設け、高さのある荷物を収納することも可能となりました。
シートフレームは、レバー操作によって背もたれがリクライニングする機能部品。正常に動作することに加え、動く際に異音が出ないなどの品質が要求されます。またシートの骨格はクルマが完成すれば隠れてしまう部分ですが、製造時には、品質低下を招く溶接スパッタの付着も徹底的に防がねばなりません。トヨタ紡織精工ではこうした課題の解決に取り組み、安全で快適に使える製品を世に送り出しています。